それぞれの人が持つ体質を考慮し、季節や年齢に応じて心身のバランスをととのえるアーユルヴェーダの料理。身近な食材を食卓に取り入れるだけでも「もうアーユルヴェーダ!」と言えるものを代表的な食材ごとに紹介していきます。第3回は美白・抗炎症・肝機能向上とスーパースター感のある「ターメリック」です。

アーユルヴェーダ料理って?
それぞれの人が持つ体質を考慮し、季節や年齢に応じて心身のバランスをととのえることができるもの。いわば考え方ですが、ちょっととっつきにくい印象があるかも。ただ、実はささやかな工夫でも始めることができ、日常の食卓にその考え方を取り入れることで、季節の変わり目にも風邪をひきにくくなったり、花粉症などのアレルギー症状が治ったり。便秘や頭痛、生理痛など、ずっと治らないと思っていた不定愁訴もいつの間にか楽にすることができます。
アーユルヴェーダを体系的に理解してないと、食事療法はどうしたらいいのか、ちょっと想像がつきづらいですね。何から始めたら良いのか。日本の食卓に馴染みやすいのか?不安に思っている方のために、身近な食材で食卓に取り入れるだけで「もうアーユルヴェーダ!」と言えるものを代表的な食材ごとにご紹介していきます。簡単なレシピのアイディアも載せておきますので、気軽な気持ちでやってみてくださいね。これでご自宅で気軽に「アーユルヴェーダ薬膳」にトライできますよ。
美白・抗炎症・肝機能向上・アンチエイジング…無敵のターメリック
「うこん」として日本でもお馴染みのターメリック。スパイス界でも知名度が高く、スパイス料理に詳しくない人でも知らない方はほとんどいないのではないでしょうか。日本では「ウコンの力」など、お酒を飲む時の肝臓ケアとして知られていますが、実はそのほかにも様々な効果のある無敵のスパイスです。
日光に当てれば白くなる美白効果
ターメリックの成分といえば「クルクミン」これはうこんに含まれる天然色素のポリフェノールで、鮮やかな黄色が特徴です。ターメリックを買い求める時も、黄色がどれくらい鮮やかかをよく見たらいい。ネパールなどでは沈んだ茶色っぽいもの、国産のものだとどことなく薄い黄色です。一方、ターメリックの産地といえばやはりインド。良質なものだとくっきりとした濃い黄色をしているので、それを目安に選ぶようにしましょう。
一方、この黄色が、白い服などを着ていて料理をしていると付着した時に心配になりますよね。実はこの黄色は日光に当てれば真っ白に戻るのでご安心を。同じように、肌に塗布すると一旦は黄色くなるのですが、しばらくして洗い落とせば、白く輝く肌になる美白効果が期待できます。これはターメリックに抗炎症効果があり、シミや色素沈着を軽減し、肌をワントーン明るくさせてくれるからなんですね。アーユルヴェーダのフェイスパックのアイテムにはターメリックが大体入っています。
ちなみに、同じクルクミンの成分があり、美白効果も期待できるスパイスとして「サフラン」がありますが、サフランは非常に効果で良質なものが手に入りづらいことからターメリックは「貧乏人のサフラン」と言われているそうです。
浄血して肝機能を向上させる
ターメリックには強い抗酸化作用があり、血中のLDL(悪玉)コレステロールの酸化を防ぎ、血流を改善することから「浄血」する作用が期待でき、結果として造血など重要な働きをしている肝機能を向上させることがわかっています。「ウコンの力」を飲むとアルコールの摂取前後のケアになるのはウコンのこうした働きからです。でも、ウコンの力だとほかいろいろな成分が余計に含まれていてターメリックはほんのちょっとなので、ターメリックをそのままお湯に溶いて飲んだ方がいいですね。手軽なレシピについては後述しますので参考にしてみてください。
アーユルヴェーダの消化の火の種類の中でも、肝臓のあたりにはブータ・アグニと言って、パンチャマハブータ(五大元素)にそれぞれ対応して消化する5種類の火があるとされています。これはメインの消化の火、ジャータラ・アグニによって消化された栄養素を、さらに消化しやすいように元素レベルに消化する大切な過程です。
肝臓は栄養学的に言うとアルコールやカフェイン、薬用成分などを分解する働きが過剰になると疲労しその機能が低下するとされています。アルコールやカフェイン、お薬を常用しない人でも、ストレスによって簡単に肝臓は疲れますし、肝臓が疲れる時には腎臓も同じような事情で疲れています。
大切な消化の役割を担う肝臓、大事にするためにも、その機能をサポートするようにターメリックはちょこちょこ摂りたいところ。カレーを作る時以外にでもたくさん使い道はありますので、後述でご紹介しますね。
切り傷にサッとかけたら止血する
料理の仕事をしていてターメリックの恩恵に預かっていることの一つに「強い止血効果」があります。ナメクジに塩をかけたら動きが止まるかの如く、切り傷にターメリックをかけると血が止まります。これはびっくり。切ったばかりの傷にかけるとかなり滲みて痛いのですが、少し我慢すれば無理にゴムなどで止血しなくても、すっと血が止まるので、料理に戻ることができる。傷が多い人はいつもほんの少し、ターメリックを常備しておくと安心かもしれないですね。
カレーにターメリックは必須ではない。ほかにも色々あるちょこっとレシピ
カレーを作る時、ターメリックは必須だと思い込んではないですか?実はカレーのレシピの世界にはターメリックが存在しないものもたくさんあります。そもそも「カレー」と言う時、インド人に何を持ってカレーかと聞いたら「スパイスを使ってたらカレー」というカレーが返ってくるので、それでは「生姜を入れた肉団子の味噌汁もカレー」ということになってしまいます。ただ、ここではいわゆる皆さんが想像するカレーの話をしています。あの汁状のものにも、白いカレー、コリアンダーだけで仕上げるカレー、クミンとマスタードシードだけでし仕上げるカレー。色々あるのです。
カレーって自由なんだな…!と思ったところで、ターメリックを取り入れる時も、カレーを作る日だけでなく、もっと自由に気楽に取り入れてみましょう。上記の通り様々な効果がありますので、日々少しずつ取り入れて「常にターメリックが効いている身体」を目指してもらいたいものです。
1、キッチンファーマシー的に摂る
キッチンファーマシーは「台所薬局」キッチンにあるものだけでまるで薬局のようにセルフケアできるレシピが、アーユルヴェーダには満載です。ターメリックを使うものもたくさんある。簡単なものを紹介しますので、ぜひやってみてください。
・ホットミルクに溶いて飲む

ホットミルクにターメリック、ギーを溶いて作る「ゴールデンミルク」は鉄板レシピですね。飲むシーン・おすすめの人は「小腹が空いたけど、おやつは控えたい時」「ご飯を食べ損ねて変な時間にお腹が空いた時」「乾燥・冷えが気になる人」「痩せていて、なかなか太れない人」「睡眠の質を上げたい人」などなどです。
ターメリックとギーの分量は適当でいいですが、消化力が落ちているなと感じる(便通が重い・便秘・下痢している)時は、牛乳が消化に重たいため同量の水で割って温め、それからギーやターメリックを混ぜるようにしてください。これだけで消化が楽になります。
・非加熱の蜂蜜に混ぜて舐める
非加熱の蜂蜜+ターメリック+黒胡椒は「喉の薬」です。喉がイガイガする時、咳が出る時、痰が絡む時、様々な時に有効で、特にこうした症状がなくても季節の変わり目や移動が多い時、人混みに行った帰りなどには摂っておくと風邪を引きにくくなります。
非加熱の蜂蜜大さじ1くらいに対し、ターメリック小さじ1、粗挽きの黒胡椒を小さじ1/2ほど混ぜてゆっくりと口の中で溶かすようにして舐める。

これはインド出張に行く朝、私が作ったもの。小さな小瓶の蜂蜜をいただいたので、そこにターメリックと黒胡椒を振りかけておいて、舐める前に混ぜようと用意しています。
こんこん咳をしていた人でも、みるみるうちに止まるから不思議。即効性があるレメディの一つなので、いろんな人に試してもらいたいものです。
ポイントは蜂蜜は必ず非加熱であること、そして「加熱しないで摂る」ことです。アーユルヴェーダでなくても、蜂蜜は加熱することで「AGEs:終末糖化物質」を生成し、体内の老化を進行させ、糖尿病のリスクなどが高まるとされています。
自然派思考のお菓子屋さんでも高温で焼く焼き菓子に蜂蜜が入っていたり、熱々のドリンクに蜂蜜をといたりといったことがいまだに多いので、あまり認知が高まってない気がしますが、お菓子を焼いたりお茶に味付けをするならきび砂糖にしておいた方がずっとマシなので「蜂蜜は非加熱で、生のまま摂る」とこの機会に覚えておいてください。
・アロエに混ぜて食べれば婦人科のケアに
アロエもアーユルヴェーダの生薬の一つでその名前は「クマーリ」、少女のような、の意味を持ち、子宮を少女のように若返らせるアンチエイジングの効果が期待できるとされています。生理に悩みがある人、更年期ケア、こうした婦人科のケア以外にも純粋に元気になりたい人があさイチにアロエを摂ることを勧められています。

沖縄や九州など温暖な地域でないとなかなか手に入りづらいのですが、生のアロエは見つけたらぜひ購入して試してみてもらいたいもの。中身の透明な果肉を取り出して、非加熱の蜂蜜とターメリックをのせ、混ぜます。

これをあさイチ、空腹時に摂ります。食べすぎると下痢をしたり、便が緩くなるので食べ過ぎには注意が必要です。
2、食材を柔らかく、ふっくらさせたいときにちょっと使う
キッチンファーマシーはある程度アーユルヴェーダに関心がある方でないと摂りづらいところもあると思いますが、実は普段の料理でもターメリックは使い道が色々あります。特に「食材を柔らかく、ふっくらさせたい時に使う」と覚えてください。ターメリックには食材を柔らかく分解する効果があり、例えば黒豆を炊くときに加えると柔らかくふっくらと炊きあがりますし、唐揚げの下味に入れれば鶏胸肉でもジューシーに、柔らかく仕上がります。焼き魚も、塩を打つときにターメリックも一緒に打ち、水が出たら一緒に拭き取れば、焼き上がりがふっくらします。注意点は「使いすぎるとターメリック味になること」ターメリックは苦味なので、入れすぎると料理の味のバランスが悪くなります。あくまで黒豆や唐揚げなども「4人分のレシピなら小さじ1/2程度」焼き魚に使う時は「ぱらぱらっとふる程度」と覚えてもらうと、失敗しないで済みますよ。
3、うがい薬に使ったり、シンプルにお湯に溶いて飲んでもGOOD

ターメリックはうがい薬にもなります。同じ量の岩塩を加え、よく混ぜて瓶に保存する。これをぬるま湯に溶いてうがいをすれば、風邪予防はもちろん、喉がイガイガしている時や、痰が出る時、咳が出る時にも有効です。高い抗炎症作用があるので、毎日の習慣にするためにもバスルームに常備してもらいたいくらいです。
単純にお湯に溶いて毎日飲む。これだけでも長く続けていれば肝機能が改善されたという方も、お客様から聞いた話。ターメリック、うこんは日本人にとっても身近なスパイスの一つなので、毎日少しずつ取り入れて身体のリズムを良くしていってくださいね。