読みもの

ムングダル(緑豆)とは? アーユルヴェーダで親しまれる豆の特徴と3つのレシピ

インドの食卓に欠かせない「ダル」。豆を煮込んだ料理は、ごはんやチャパティとともに、毎日の食事を支える存在です。その中でも、私が日々の料理におすすめしたいのが、ムングダル(緑豆)。

アーユルヴェーダでは、比較的消化に軽い豆として知られ、体調や季節に合わせた食事にもよく使われます。日本ではまだ馴染みの薄い豆ですが、実は調理も簡単。皮なし・ひきわりのイエロームングダルなら、浸水せずに短時間で煮ることができます。

今回は、ムングダルの特徴や使い方とともに、ダルカレー、キチュリ、緑豆パンケーキの3つのレシピをご紹介します。

ムングダルとは? インドの食卓を支える身近な豆

日本の食卓に大豆が欠かせないように、インドではさまざまな豆が日常的に食べられています。ムングダル(緑豆)、マスールダル(レンズ豆)、チャナダル(ひよこ豆の仲間)など、種類も調理法も実に豊富。この「ダル」という言葉は、豆そのものや、豆を使った煮込み料理を指して使われます。

ネパールの「ダルバート」なら食べたことがある方、いるかもしれないですね。ごはんに豆のスープや野菜のお惣菜、漬物などを添えた、日常の定食です。ダルバートはつまり「豆料理の定食」てこと。私もネパール料理が大好き。ダルバートを食べると、どこか懐かしくて、ほっとするんですよね。

インドでも、豆を煮込んだダルは毎日の食卓に登場します。以前、インドのアーユルヴェーダ治療院でいただいた昼食も、ごはんやチャパティにダル、そして少しのお惣菜を合わせたシンプルなものでした。

日本のごはんと味噌汁のように、毎日食べても飽きない料理。そんなインドの豆料理の中で、アーユルヴェーダでもよく使われるのがムングダルです。

アーユルヴェーダでムングダルが親しまれる理由

アーユルヴェーダでは、食材の栄養だけでなく、その性質や消化のしやすさも大切にします。ムングダルは、豆類の中では比較的消化に軽いとされる食材です。豆には植物性たんぱく質や食物繊維が含まれていますが、どれほど栄養が豊富でも、自分の消化力に合わなければ、食後に重たさを感じることがあります。

だからこそ、何を食べるかと同じくらい、どう調理して、どのくらい食べるかが大切です。ムングダルは、柔らかく煮て、スパイスやギーと組み合わせることで、日常の食事に取り入れやすくなります。もちろん、比較的消化に軽いとされる豆でも、すべての人が同じように消化できるわけではありません。初めて食べる場合は少量から試し、自分のお腹の調子を観察してみてください。

大豆とはどう違う?

日本には、豆腐、豆乳、湯葉、油揚げ、味噌、醤油など、大豆を使った豊かな食文化があります。大豆も優れた植物性たんぱく質の供給源ですし、日本人にとって馴染み深い食材です。

アーユルヴェーダには「サートミヤ」といって、慣れ親しんだものとの適合性を重視する考え方があります。その意味でも、普段から食べ慣れている大豆料理を大切にすることは、自然なことだと思います。

一方、豆類は種類や調理法によって、お腹にガスがたまったり、重たく感じたりすることがあります。冷たい豆腐より温かい湯豆腐が心地よい日もあれば、豆乳を温めてスープにしたくなる日もある。そんなふうに、身体の状態に合わせて調理方法を変えるのも、アーユルヴェーダの知恵と言えますよね。

ムングダルは、大豆に取って代わるものではありません。日々の食卓に加えたい、もうひとつの豆の選択肢です。

ムングダルの種類と選び方

ムングダルには、皮付きのホールタイプと、皮を取り除いてひきわりにしたタイプがあります。

皮付きのホールムングダル

緑色の皮が付いた、小さな丸い豆です。豆の形や食感を生かした料理に向いています。今回ご紹介する緑豆パンケーキには、こちらを使います。

こちらはアリサンの皮付きホールムングダル

皮なし・ひきわりのイエロームングダル

黄色く、半分に割れた状態の豆です。火が通りやすく、煮ると柔らかく崩れて、とろりとした仕上がりになります。ダルカレーやキチュリを手軽に作りたい方には、まずこちらがおすすめ。

こちらはアンビカの皮なし・ひきわりのイエロームングダル。今回のレシピでも、ダルカレーとキチュリにはイエロームングダルを使います。

緑豆もやしも、同じ緑豆からできている

スーパーで見かける「緑豆もやし」は、緑豆を発芽させたものです。同じ豆でも、発芽した状態と乾燥した豆とでは、食感も調理方法も異なります。アーユルヴェーダでも、食材の状態や調理方法によって性質を捉えるため、緑豆ともやしをまったく同じものとして扱うわけではありません。

今回は、乾燥したムングダルをしっかり煮たり、浸水して調理したりするレシピをご紹介します。

ムングダルをおいしく、消化に配慮して食べるコツ

ムングダルは比較的調理しやすい豆ですが、豆料理を食べ慣れていない方は、次の点を意識すると取り入れやすくなります。

  • しっかり火を通す。 豆の芯が残らないように、柔らかくなるまで煮ます。
  • スパイスを活用する。 クミンや生姜、ヒーングなどは、インドの豆料理でよく使われます。
  • 水分量を調整する。 お腹を休めたいときは、スープやお粥のように柔らかく仕上げるのもおすすめです。
  • 初めは少量から。 いくら良い食材でも、急にたくさん食べるのではなく、食後の状態を見ながら取り入れます。

それでは、ムングダルを使った3つの料理をご紹介します。

レシピ① 毎日の味噌汁のような「ダルカレー」

インドでは、ダルカレーは毎日の食卓に欠かせない料理。日本の味噌汁にも地域や家庭ごとにさまざまな作り方があるように、ダルにも数えきれないほどのレシピがあります。今回は、皮なし・ひきわりのイエロームングダルを使った、浸水不要のシンプルな作り方です。

材料(2人分程度)

  • イエロームングダル(皮なし・ひきわり)…140g
  • 玉ねぎ…1/8個
  • 生姜…3g
  • ニンニク…2g
  • ターメリック…2g
  • 岩塩…2g
  • ギー…10g
  • クミンシード…2g
  • マスタードシード…1g
  • 水…豆の約5倍量を目安に

作り方

  1. イエロームングダルをさっと洗って汚れを落とし、ざるにあげます。鍋に豆と水を入れ、中火にかけます。
  2. 豆を煮ている間に、玉ねぎ、生姜、ニンニクをみじん切りにします。
  3. 豆が柔らかく崩れるまで15分ほど煮たら、玉ねぎ、生姜、ニンニク、ターメリック、岩塩を加え、さらに5分ほど煮込みます。豆の状態に合わせて加熱時間と水分を調整してください。
  4. 小さなフライパンやタルカパンにギー、クミンシード、マスタードシードを入れて温め、スパイスの香りをギーに移します。
  5. 4を豆の鍋に加えて混ぜたら完成です。

アレンジ

玉ねぎやニンニクは、ヨガやアーユルヴェーダの実践でサットヴァを意識した食事を作る際には、省くこともあります。トマトを1/8個ほど加えると、酸味とうまみが出て、また違ったおいしさに。

クミンシードとマスタードシードに赤唐辛子を1/4〜1/2本ほど加えるアレンジもあります。辛味は好みや身体の状態に合わせて調整してください。皮付きの緑豆を使うもの、油と一緒に煮込むものなど、ダルの作り方は地域や家庭によってさまざまです。

レシピ② ムングダルとお米のお粥「キチュリ」

キチュリは、豆と米を一緒に煮込んだインドのお粥。アーユルヴェーダの食事としてもよく知られ、胃腸を休めたいときや、食事を軽くしたいときに親しまれています。今回ご紹介するのは、イエロームングダルとバスマティライスを使ったシンプルなキチュリです。

材料(2人分程度)

  • イエロームングダル…1/4カップ
  • バスマティライス…1/4カップ
  • 生姜…2g
  • ギー…15g
  • クミンシード…1g
  • ターメリックパウダー…2g
  • コリアンダーパウダー…1g
  • 岩塩…3〜5g
  • 黒胡椒…お好みで
  • 水…豆と米を合わせた量の約5倍を目安に、適宜追加

作り方

  1. イエロームングダルとバスマティライスをさっと洗い、ざるにあげます。浸水は不要です。
  2. 深めの鍋に豆と米を入れ、水を加えて中火にかけます。沸騰してアクが出たら弱火にし、アクをすくいます。
  3. 煮ている間に生姜をみじん切りにします。
  4. 豆が指でつぶせるほど柔らかくなったら、水分を調整して、とろとろのお粥状にします。岩塩、黒胡椒、ターメリック、コリアンダーパウダーを加え、木べらで混ぜてなじませます。
  5. 小さなフライパンにギー、生姜、クミンシードを入れて温め、テンパリングしたら鍋に加えて完成です。

アレンジ

玉ねぎ1/4個、ニンニク1かけ、トマト1/8個を加えてもおいしく仕上がります。地域によっては、にんじんや大根などの野菜を小さく切って加えることも。eatreat.の春の料理教室では、ほうれん草のペーストを加えた緑色のキチュリもご紹介しています。アスパラガスを茹でた汁で煮込むキチュリもおすすめ!

キチュリについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。

レシピ③ 皮付き緑豆で作るパンケーキ

3つ目は、緑豆を使ったパンケーキ。「豆でパンケーキ?」と驚くかもしれませんが、インドには豆を使ったクレープやパンケーキが豊富にあります。お惣菜を包めば食事用のクレープのようにも楽しめますし、ブランチやランチにもぴったり。今回の3品の中では少し難しいレシピですが、焼き上がった姿がかわいらしく、作る楽しさのある料理です。

材料(4枚分)

  • 緑豆(皮付きホール)…50g
  • ウラッド豆…30g
  • パクチー…10g
  • 生姜…5g
  • 玉ねぎ…1/8個
  • グリーンチリ…1/4本
  • ヒーング…少々
  • 岩塩…少々
  • ギー…焼くときに適量

作り方

  1. 緑豆とウラッド豆をたっぷりの水で一晩しっかり浸水します。
  2. パクチーを細かく刻み、生姜、玉ねぎ、グリーンチリをみじん切りにします。
  3. 浸水した豆をざるにあげて水を切り、豆だけをフードプロセッサーで撹拌します。
  4. 豆がある程度つぶれたら、刻んだ野菜を加えてさらに撹拌します。野菜の水分を利用しながら、パンケーキの生地くらいのとろみになるまで混ぜます。水分が足りなければ、少しずつ水を加えて調整してください。
  5. ボウルに移し、ヒーングと岩塩を加えて混ぜます。
  6. フライパンにギーを温め、生地をお玉ですくって流し入れ、中弱火で焼きます。
  7. 両面にほどよい焼き色が付き、中までしっかり火が通ったら完成です。
  8. お惣菜やサンバル、ダルカレーなどを添えていただきます。生地に水を加えて薄く焼けば、クレープのようにも楽しめます。

上手に焼くには

このパンケーキは、生地の水分量と焼き加減がポイントです。料理教室でも何枚か実演していますが、最初は難しく感じる方もいます。何度か焼いてみると、生地の広げ方や返すタイミングが少しずつつかめるようになります。動画で作り方を確認したい方には、関連する料理教室のアーカイブやスパイスキットもおすすめです。

ムングダルを、毎日の食卓に少しずつ

ダルカレー、キチュリ、緑豆パンケーキ。同じムングダルでも、煮る、米と合わせる、すりつぶして焼くと、まったく違う料理になります。こうした豆料理の豊かさは、インドの食文化のおもしろいところです。

ただ、アーユルヴェーダでは、どんなに良いとされる食材でも、そればかりを食べることは勧めません。食べ慣れないものを急にたくさん取り入れるよりも、普段の食事に少しずつ加えて、自分の身体がどう感じるかを観察する。ごはんと味噌汁のある日もあれば、ダルカレーを作る日もある。

そんなふうに、ムングダルを日常の食卓の常連メンバーにしていけたらいいですね。

あわせて読みたい

キチュリとは? 緑豆とお米で作るアーユルヴェーダのお粥

キチュリの特徴や、季節に合わせた楽しみ方を紹介しています。

ギーの作り方と使い方|アーユルヴェーダの基本オイルを毎日の台所へ

ダル料理にも使われるギーの作り方や、日々の料理への取り入れ方を紹介しています。